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​研究内容

  • ​温室効果ガスCO₂の削減と資源化に関する研究

  • ​高次機能性触媒反応システムに関する研究

  • ​低炭化技術に関する研究

  • ​低級炭化水素のハイエンタルピー化に関する研究

  • ​マトリックス元素の新触媒機能の創製に関する研究

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​  温室効果ガスCO₂の削減と資源化に関する研究

1. CO2の物質変換のための触媒システム開発

  • 大型産業プロセス排出のCO2ガスをメタン(CH4)に資源化する技術

  • 実エンジン排出のCO2ガスを高速で効率的に処理する触媒技術

 温室効果ガスによる異常気象の発生が顕著です。2020年に日本は2050年のCO2排出実質ゼロ宣言を世界に向けて発信しました。約12億トンの膨大なCO2の削減に向けた科学技術の開発は必須です。この研究では、発電所や工場などの産業プロセスから排出されるCO2を原料に、メタン化反応(methanation)で資源となるメタン(CH4)に変換する触媒材料や触媒反応システムを開発しています。メタン化反応は、日本の政府も “2050年グリーン成長戦略(2020年12月発表)政策”で中心的な科学技術として取り上げています。これまでに当研究室では、通常の室温域でメタン化反応が起動するオートメタネーション(Auto-methanation)現象を世界に先駆けて発見し、その発現の機構や利用方法について研究しています。世界初のこの科学現象を使ってCO2削減と利用に向けた新たしい触媒技術を開発しています。

当研究室が初めて発見したouto-methanation現象.png

当研究室が世界で初めて発見した

Auto-methanation 現象

​2. CH4から有用化学物を創製する触媒システム開発

  • ​メタン(CH4)から合成ガスを製造する触媒反応の技術

 産業プロセス排出のCO2をCH4に資源化した後、そのCH4を原料とした有用化学物の製造技術の開発が望まれています。この研究では、C1化学産業の原料となる合成ガス(H2+COの混合ガスのこと)を、メタンのドライ改質反応(dry reforming of methane)で製造する触媒反応システムを開発しています。一般的に、ドライ改質反応は炭素が析出しやすい反応であり、この析出炭素が触媒被毒物となりますが、当研究室で開発した新型触媒(Ni系構造体触媒)は炭素析出に対する耐性が高く、そして大量のメタンをドライ改質処理できます。CO2のメタン化反応技術と併せることで、産業プロセス排出のCO2を有用化学物に変換する革新的な技術となります。

開発した炭素析出性の高いNi系構造体触媒.png

開発した耐炭素析出性の高いNi系構造体触媒

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​高次機能性触媒反応システムの開発に関する研究

       1.  ​ 構造体触媒 (Structured catalyst) による触媒システム

  • ​天然ガスやバイオマス資源からクリーンエネルギー水素を製造する技術

  • タール成分を原料とした高活性+高耐久性な改質システムの技術

​ 化学反応場と熱エネルギーの伝熱場を一体化した構造体触媒(Structured catalyst)は,通常の粒状触媒と比較して,エネルギーの交換や物質移動の制御性にすぐれ,高い原料処理能力と迅速な応答性を与えます。言わば,高次機能性を保有する新しい触媒材料です。この研究では,未来の新エネルギーとして期待される水素エネルギーの製造反応=水蒸気改質反応(Steam reforming,大きな吸熱反応)に適した構造体触媒を開発すべく,触媒材料の開発やそれを用いた反応システムの開発と性能評価を行なっています。原料は天然ガスやバイオマスです。この構造体触媒の開発は,低炭素社会の構築につながるエネルギーシフトを推進します。また,構造体触媒の低圧力損失性を生かし,亜臨界水中で非食料セルロースからアルコールへの化学変換に関する研究も行なっています。

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2.   ペロブスカイト型酸化物触媒

  • ​​炭化水素や芳香族化合物をファインケミストリー原料へ化学変換

  • ペロブスカイト型構造体(プレート型)触媒の創製

​新機能性化学反応システムに関する研究

​1. 有機ハイドライドによるエネルギーキャリア型触媒反応システムの研究

太陽エネルギーや風力エネルギーが豊富な場所で水素キャリアの有機ハイドライド(メチルシクロヘキサンなど)を合成し、日本に海上輸送して脱水素反応で水素を取り出し、燃料電池自動車や家庭内燃料電池を駆動させる、そんなグローバルな水素キャリアシステムが他機関との共同プロジェクト研究としてスタートしました。当研究室では脱水素触媒の開発と脱水素反応システムの開発を担当し、そのための構造体触媒システムに関した研究に取り組んでいます。 

2. 機能複合型触媒反応システム

  • ヒートコンバインド型化学反応システムの開発とその特性評価

  • ​改質機能とCO除去機能のコンパクトカップリング型化学反応システムの開発

工業的な化学反応プロセスは,通常いくつかの工程で構成されます。例えば水素製造プロセスは,原料の脱硫工程→水蒸気改質工程→CO変成(除去)工程で構成され,そのため装置自体が大型になります。しかし,燃料電池による家庭内発電やFCV自動車,あるいはオンサイト型水素ステーションにおける水素製造では,反応プロセス自体の省スペース化が求められます。コンパクトカップリング型化学反応システムの研究では,水蒸気改質工程とCO変成工程をひとつの反応器内にコンパクトに収納したシステムを作製し,その特性を評価しています。触媒は,伝熱性とコンパクト性にすぐれた構造体触媒です。また,この構造体触媒の特長を生かし,壁を隔てて触媒燃焼(発熱)を同時に進行させて改質エネルギーを確保するヒートコンバインド型改質システムの特性を評価しています。通常のバーナー加熱や電気加熱よりも,コンパクトで効率的な加熱方式であることが明らかになりつつあります。

3. マイクロ空間を特殊反応場とする触媒反応システム

  • ​小型燃料電池用水素製造システム開発

微小なマイクロ空間(μm~mmオーダー)を化学反応場とした場合,化学物質の移動性や熱エネルギーの制御性が向上し,通常の反応器では得られないような反応特性の発現を可能にします。この研究では,モバイルタイプやポータブルタイプの燃料電池発電システム用小型水素製造システムを構築するために,マイクロ空間を触媒化する方法や作製した小型触媒材料の化学反応特性を評価しています。このシステムは,マクロサイズの化学反応場が示す触媒特性よりもかなり高い機能性を発現することがわかってきました。

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